「口呼吸が子どもの歯並びを悪くする」そんな話を聞いたことはありませんか?実は、口呼吸は単なる癖や習慣ではなく、歯並びの乱れを引き起こす大きな原因のひとつです。
口がポカンと開いている、舌が下がっている…一見よくある行動の裏には、顎の発育や舌の使い方、姿勢などへの悪影響が隠れていることも。そのまま放置すれば、歯並びだけでなく集中力や睡眠の質、さらには全身の成長にも影響を与えるリスクがあります。
本記事では、口呼吸がなぜ歯並びに影響するのかをわかりやすく解説し、根本から改善をめざす新しい矯正アプローチについてもご紹介します。
口呼吸と歯並びの関係性
「口で呼吸するのは普通のこと」と思っていませんか?実は、口呼吸は歯並びに悪影響を与える大きな原因のひとつです。
本来、人間は「鼻」で呼吸するように体がつくられています。鼻呼吸には、空気を温めたり、異物をろ過したりする働きがあり、健康を守るうえでとても大切な役割を果たしています。
しかし、口呼吸が習慣になると、口の中が乾きやすくなったり、細菌が増えたりといった口内環境の悪化だけでなく、顎の成長や舌の位置、口周りの筋肉の使い方にも悪影響が及びます。
その結果として、歯がきれいに並ぶためのスペースが不足したり、顎が小さくなったりすることで、歯並びが乱れてしまうのです。
「口で呼吸するのは当たり前」ではない!
「うちの子、いつも口を開けてる気がする…」そんな様子が日常的になっていたら、それは口呼吸が癖になっているサインかもしれません。
本来、安静時には口は閉じていて、舌は上あごにピタッとくっついている状態が理想です。
しかし口呼吸をしていると、舌は下に落ち、口も開いたままになりやすくなります。こうした状態が続くと、正しい顎の発育が妨げられ、結果として歯並びが崩れてしまうのです。「口呼吸」は見落とされがちな問題ですが、歯並びや子どもの成長に大きく関わっています。
このあと詳しくご紹介するように、近年ではお口ポカンの子どもが増えている背景や、口呼吸の原因となる生活習慣も明らかになってきました。
今のうちから正しく対処することで、将来の歯並びや健康に大きな違いが生まれます。まずは「口呼吸と歯並びの関係」をしっかりと知ることから始めてみましょう。
口呼吸はなぜ歯並びを悪くするの?
口呼吸は、単なる癖や習慣と思われがちですが、子どもの歯並びに大きな影響を与える要因のひとつです。
その理由は、舌の位置、筋肉の使い方、そして顎の成長といった複数の要素に関係しています。
ここでは、口呼吸が歯並びを悪くしてしまう主な3つのメカニズムをご紹介します。
舌の位置が下がる(低位舌)
本来、舌は安静時に「上あごの天井」に軽く触れているのが自然な位置です。ところが、口呼吸が習慣化すると舌が下の方へ落ちてしまい、「低位舌(ていいぜつ)」の状態になります。
舌が正しい位置にないことで以下のような影響が起こります
- 舌が上あごを内側から押す力が働かなくなり、上あごの横幅が広がらない
- 顎の成長が十分に促されず、歯が並ぶためのスペースが足りなくなる
- 結果的に、ガタガタの歯並びや出っ歯・受け口といった不正咬合につながる
また、舌の位置が下がっていると口が開きやすくなり、さらに口呼吸が進むという悪循環にもつながります。
口周りの筋肉が使われない
口呼吸が続くと、口を閉じたり、しっかり噛んだりする機会が減るため、唇・頬・顎などの筋肉がうまく発達しません。
この筋肉の未発達が引き起こす問題には、以下のようなものがあります。
- 唇や頬の筋力が弱く、歯を正しい位置に支える力が不足
- 噛む力や発音が不安定になり、表情筋の成長や顔のバランスにも悪影響
- 飲み込みや話し方にもクセがつき、口腔機能全体の発達に支障が出る
筋肉の発達が不十分なままだと、歯や顎を支える力が弱く、歯列が崩れやすくなるのです。
顎の発育に悪影響が出る
子どもの顎は、噛む・飲み込む・呼吸するといった日常の動作からの刺激によって発育していきます。しかし、口呼吸の習慣があるとそれらの働きがうまく行われず、顎がしっかりと成長しなくなってしまうのです。
具体的には
- 食事中にしっかり噛まずに飲み込んでしまい、咀嚼による顎への刺激が不足
- 呼吸が浅くなり、全身の発育にも悪影響
- 顎が小さいままだと、歯が並ぶスペースが足りずに歯列がガタつく
顎の成長が不十分なまま放置すると、将来的に矯正治療が必要になるケースも多くなります。
子どもの口呼吸が増えている?
気がつくとお子さんの口が開いている——そんな場面をよく見かけませんか?ここ数年「口をぽかんと開けている子が増えている」と言われています。一見すると可愛らしく見えるその姿、実は口呼吸が習慣になっているサインかもしれません。
お口ポカンの状態が続くと、前項で紹介した歯並びを悪くする以下の影響が出やすく、歯がきれいに並ぶための土台が整わなくなってしまいます。
- 舌の位置が下がる
- 唇の筋肉が使われない
- 顎が発達しにくい
「まだ小さいから大丈夫」と思わず、早めに気づいて対処することが、歯並びや顔立ちの成長にとってとても大切です。
口呼吸の原因になりやすい癖や環境とは?
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子どもが口呼吸になってしまう背景には、実は日常のちょっとしたクセや体のつくり、生活環境が関係していることが少なくありません。
「口で呼吸しているのはただのクセ」と見過ごしてしまうと、歯並びや顎の発育、さらには健康全体にまで影響が広がる可能性も。
ここでは、特に口呼吸の原因になりやすい代表的な2つの要因について解説します。
鼻詰まりやアレルギーによる慢性的な鼻閉
子どもが鼻で呼吸できず、自然と口呼吸になってしまう一番の原因が「鼻づまり」です。次のような症状があると、無意識のうちに口を開けて呼吸するようになってしまいます。
- アレルギー性鼻炎(ハウスダスト・花粉など)
- 慢性的な副鼻腔炎(ちくのう症)
- 鼻中隔のゆがみや粘膜の腫れ(鼻閉)
- 扁桃腺やアデノイドの肥大(のど奥がふさがれて息がしづらい)
このような鼻閉の状態が続くと、子ども自身も「鼻で息をするのが苦しい」と感じ、口呼吸がクセになってしまうのです。
その結果、舌の位置が下がったり、唇がしっかり閉じられなくなったりと、歯並びや顎の発達にも悪影響が出てきます。
舌小帯・上唇小帯の異常(タングタイ/リップタイ)
口呼吸の原因として見逃されがちなのが「舌や唇の動きに制限がある状態」です。
- タングタイ:舌の裏側にある「ひも」のような組織(舌小帯)が短く、舌が自由に動かせない状態
- リップタイ:上唇の内側にある「ひも」(上唇小帯)が長く、唇が閉じにくかったり、表情の動きを妨げる状態
これらの状態だと、舌が本来あるべき位置(上あごの内側)に届かず、常に下がったままになります。また、唇をしっかり閉じることが難しいため、常に口が開いた状態=お口ポカンになりがちです。
その結果、口呼吸が定着し、舌や顎の筋肉の発達が不十分となって、歯並びの乱れへとつながってしまうのです。
口呼吸をそのまま放置するとどうなる?
「うちの子、いつも口を開けてるけど、そんなに気にしなくても大丈夫かな…?」
そんなふうに思う保護者の方も多いかもしれませんが、実は口呼吸を放っておくと、歯並びの乱れだけでなく、体のさまざまなところに影響が出ることがあるのです。
ここでは、放置によって起こり得る影響を3つのポイントに分けてご紹介します。
歯並びだけでなく、姿勢・睡眠の質にも影響する
口呼吸が続くと、舌が下がった位置にあることが多くなり、顎の発育が遅れたり、歯並びがガタガタになりやすくなります。
さらに、口で呼吸をしやすくするために、首が前に出たような姿勢(猫背)になりやすく、全身のバランスが崩れてしまうことも。
また、寝ている間も口が開いたままになるため、いびきや無呼吸、睡眠の質の低下につながる可能性もあります。
発音や集中力にも影響することがある
口呼吸の子どもは、舌や唇、頬まわりの筋肉がうまく使えていないケースが多く、発音が不明瞭になることがあります。
たとえば「さ行」「た行」「ら行」がうまく言えない、音がはっきりしないといった特徴が出ることも。
また、呼吸が浅くなって酸素がうまく体に届かない状態が続くと、集中力が続きにくくなったり、すぐに疲れてしまうといった影響も現れることがあります。
脳にまで影響することもある
意外に思われるかもしれませんが、口呼吸が続くと脳の発達や働きにまで影響を及ぼすという研究報告もあります。
というのも、鼻呼吸に比べて口呼吸は吸い込む酸素の量が少なく、脳への酸素供給が不足しやすいと言われているからです。
これにより、注意力の低下や記憶力への影響、さらには成長ホルモンの分泌バランスにも関係すると考えられています。
子どもの歯並びを根本から考える予防矯正の新常識「ORT矯正」とは?
ここまでの記事でお伝えしてきたように、歯並びの乱れは「歯」そのものの問題ではなく、「呼吸」「舌の位置」「筋肉の使い方」「顎の成長」といった体の発達や全身の健康と密接に関わっています。歯だけに注目しても、根本的な解決にはつながらないというのが現代の見方です。
こうした背景から生まれたのが、ORT矯正(オーラルルートセラピー)という新しい矯正の考え方です。
表面的な矯正ではなく、呼吸・姿勢・筋肉まで見る予防矯正
従来の矯正治療では、歯を動かして「見た目を整えること」が目的でした。
しかしORT矯正では「なぜ歯並びが乱れるのか?」という根本原因を探り、その原因に直接アプローチするという点が大きな違いです。
- 正しい舌の位置で、上顎がしっかりと成長するように導く
- 鼻呼吸ができるようになり、口の中の乾燥や悪習癖を防ぐ
- 姿勢や飲み込み方を改善し、体全体のバランスを整える
こうしたアプローチにより、歯並びの乱れを未然に防ぎながら、お子さまの本来持つ「成長力」を引き出すことが、ORT矯正の大きな目的です。
「全身の健康」につながる「口の健康」を目指す考え方
ORT矯正の視点は、単なる歯並びの改善にとどまりません。「歯を整えることで、体全体の発達や健康を支えていく」という、より包括的な考え方に基づいています。
たとえば…
- 舌の位置が正しくなれば、自然に鼻呼吸ができるようになり、風邪や感染症のリスクも軽減されます
- 正しい姿勢で噛めるようになれば、体幹が安定して、集中力や学習面にも良い影響が生まれます
- 飲み込み方や口の使い方が整えば、発音が明瞭になり、表情も豊かになります
このように、ORT矯正は歯並びだけを見る治療ではありません。「正しい成長のルート(=オーラルルート)」を整えることで、歯並び・呼吸・姿勢・筋肉のバランスを総合的に改善し、健やかな体と心を育てていく。それがORT矯正の本質です。
従来の「見た目だけの矯正」では実現できなかった、子どもたちの健全な成長を支える新たな選択肢として、ORT矯正が今注目されています。
子どもの歯並びを良くするには喜多デンタルクリニックの予防矯正にご相談ください
ここまでご紹介してきたように、歯並びの乱れは、ただ歯の生え方に原因があるのではなく、実は「口呼吸」と深く関係していることがわかってきました。
口呼吸が続くと、舌の位置が下がり、顎の発育が妨げられたり、口周りの筋肉が使われなくなったりと、さまざまな機能の乱れが連鎖的に起こります。
つまり、歯並びの問題は「見た目」だけではなく、呼吸・姿勢・筋肉の使い方など、子どもの健やかな発育全体と結びついているのです。
徳島県にある喜多デンタルクリニックでは、こうした根本原因にしっかり向き合う「ORT矯正(オーラルルートセラピー)」を取り入れた予防的な矯正治療を行っています。
一人ひとりの成長環境に合わせたアプローチ
私たちはまず、お子さまの生活リズム・食事の仕方・睡眠中の様子などを丁寧にヒアリングし、その子の成長環境に合った生活習慣の改善アドバイスを行っています。
日常のちょっとしたクセや呼吸の仕方が歯並びに大きく影響するからこそ、ご家庭でも続けやすいサポートを心がけています。
歯の動きではなく「原因の根本」から整える予防矯正
鼻づまりによる口呼吸や、舌の位置異常による顎の未発達、間違った嚥下(飲み込み方)や姿勢のクセなど、喜多デンタルクリニックでは、こうした歯並びを乱す原因に焦点を当て、根本から整える矯正を大切にしています。
無理に歯を動かすのではなく、お子さま自身の成長力を活かしながら整えていくからこそ、後戻りしにくく、身体全体の健やかな発育にもつながるのです。
歯並びの改善が、全身の健やかな成長につながる
口は「食べる・話す・呼吸する」など、子どもの発育に直結する大切な器官。喜多デンタルクリニックでは、ORT矯正の考え方に基づき、歯並びだけでなく、噛み方・姿勢・舌の使い方・呼吸の質など全身に関わるケアを提供しています。
「歯並びを整えること=健康な体を育てること」そんな未来を見据えたサポートを、保護者の皆さまと二人三脚で取り組んでいます。
お子さまの未来のために、今できることから始めませんか?
歯並びの問題は、ある日突然起きるものではありません。日々の小さなクセや生活習慣が積み重なって、将来の成長や健康に影響を与える可能性があります。
だからこそ、大切なのは「早めに気づいて、無理のない方法で予防すること」。
「矯正っていつから始めればいいの?」 「まだ小さいけれど、相談しても大丈夫?」そんなお悩みをお持ちの方こそ、ぜひ一度【喜多デンタルクリニック】にご相談ください。
お子さま一人ひとりの成長段階に合わせた、最適なサポートをご提案いたします。