Blog
「インプラントと副鼻腔炎の関係について」
徳島県 徳島市 喜多デンタルクリニック
歯科医師・院長 喜多大作
□副鼻腔炎とは?
鼻の中は「鼻腔」と「副鼻腔」とで構成されており、副鼻腔炎とは、鼻腔の周りにある副鼻腔が炎症を起こす病気です。
副鼻腔は、顔の左右にそれぞれ4個ずつ、前頭洞(ぜんとうどう)・篩骨洞(しこつどう)・上顎洞(じょうがくどう)・蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)があります。
その中には空気が入っていて、小さな穴で鼻腔とつながっています。副鼻腔の表面には薄い粘膜があり、粘液を出しており、さらに、線毛という小さな毛がたくさん生えていて、粘液を鼻腔のほうへ押し出す役割を果たしています。
□副鼻腔炎の原因
多くの場合は、風邪のウイルスや細菌、アレルギーなどにより、副鼻腔の粘膜に炎症が起こることで発症します。
しかし、まれに歯が原因で副鼻腔炎が生じることがあります。それは、虫歯や歯周病が原因で、口の中の細菌が副鼻腔(主に上顎洞)に入り込んだときです。
健康な状態では、口の中と上顎洞はつながっていませんが、上の歯が虫歯や歯周病になると、細菌が歯や歯の周囲の骨をどんどん溶かして上顎洞に届いてしまいます。
この原因となる歯は、1番多いのが上顎第一大臼歯(上の奥から2番目の歯)で、2番目に多いのが上顎第二小臼歯(上の奥から3番目の歯)、3番目が上顎第二大臼歯(上の1番置くの歯)と続きます。
上の奥歯の虫歯や歯周病を放置すると、副鼻腔炎を併発するリスクがあるので、早めの治療がとても重要になります。
ちなみに、副鼻腔の上顎洞に炎症が起こっているものを、「上顎洞炎」と呼び、風邪などによって引き起こされるものは「鼻性上顎洞炎」
虫歯などお口の中のトラブルが原因となって起こるものは「歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)」といいます。
□副鼻腔炎の主な症状
副鼻腔炎は、発症から4週間以内の場合は「急性副鼻腔炎」、症状が3ヵ月以上続く場合は「慢性副鼻腔炎」と診断され「蓄膿症」と呼ばれることもあります。
副鼻腔炎によって起こる主な症状は以下の通りです。
・鼻づまり
・鼻水
・後鼻漏 (鼻水がのどに落ちる)
・頭痛
・顔面痛
・嗅覚障害
・せき
・口臭 など
□副鼻腔炎とインプラントの関係は?
鼻の病気である副鼻腔炎ですが、お口の中のトラブルが原因で発症することもあると上記でお伝えしました。
実際に虫歯や歯周病だけではなく、インプラントが原因で副鼻腔炎になったという患者さんもいらっしゃいます。
インプラントが副鼻腔炎を引き起こす原因として、大きく2つのケースが考えられます。
1. 上顎洞粘膜を傷つけてしまう
インプラントを上顎に入れる際、副鼻腔の一つである上顎洞の底の骨が薄い場合、インプラント体を固定することができません。その為インプラント体を入れる前に、骨を増やすための治療を行います。この治療中に、上顎洞の粘膜が破れたり傷ついたりしてしまうことがあり、その傷ついた粘膜に細菌感染が起こり、副鼻腔炎を引き起こすことがあります。
2. 上顎洞にインプラントが突き抜ける
インプラントを実際に埋める手術の際に、ドリルやインプラント体が上顎洞の粘膜を突き抜けてしまうと、細菌感染を起こして副鼻腔炎が生じることがあります。粘膜を少し傷つけた場合と比べると、粘膜を突き抜けてしまった場合の方が副鼻腔炎になるリスクは一般的に高くなる傾向です。
また、インプラントが上顎洞の粘膜を突き抜けている場合は、一度除去し再度しっかりと埋める必要があります。
□まとめ
副鼻腔炎は、風邪やアレルギーだけでなく、歯やお口の中のトラブルが原因で発症することもあります。
特に、インプラント治療後に上顎洞炎を起こさないようにするには、治療前に骨の厚みや形状をしっかり確認しておくことが大切です。その上で、必要とされるインプラントの長さを十分確保出来るかといったことを主治医の歯科医師と、治療前に相談しておく必要があるでしょう。
また現在、鼻づまり、頭痛など副鼻腔炎の症状がある、以前にインプラントの治療を受けたことがあり気になる方は、お早めに歯科医院や耳鼻科を受診するようにしましょう。
徳島市の歯科(歯医者)喜多歯科クリニック
クリニック紹介
詳細は、こちらよりご確認下さい。
クリニック情報
- 医院名:KITA Dental Clinic/喜多歯科クリニック
- 〒770-8052
徳島県徳島市沖浜3丁目64番地 - 電話番号:088-653-8040
- 休診日:水曜日、日曜日、祝祭日
- 専用駐車場有り
- その他:全診療室完全個室、CT完備、etc