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「できるだけ自分の歯を残したい」そう思っていても、何から始めればいいのか分からない方は多いのではないでしょうか。
歯を失う原因の多くは、歯周病や虫歯など、日々のケアと定期的な管理で防げるものです。実際に、歯の本数は食事の楽しさだけでなく、認知機能や全身の健康、生活の質にも関わることが分かってきています。
本記事では、歯を失うことで起こりやすい影響を整理したうえで、今日から実践できる「歯を残すためにできることを解説します。将来後悔しないために、今できる一歩を一緒に確認していきましょう。
歯の残すことの重要性・歯の価値
「歯を残すためにできること」を見ていく前に、まずは歯の需要性について改めて知っておきましょう。
歯を失うと困るのは「噛みにくい」「見た目が気になる」だけではありません。噛む力や口腔機能が低下すると、食事内容・栄養状態・活動量・社会参加などが変わりやすくなり、結果として全身の健康にも影響しうることが報告されています。
ここでは、歯(歯の本数・咀嚼機能・口腔機能)の低下と関連が指摘されている代表的な影響をまとめました。
※多くは「関連(リスクが高い傾向)」を示す研究であり、必ずしも因果関係を断定するものではありません。
認知機能の低下・認知症のリスクが高まる
歯が少ないことや噛みにくさがあることは、認知機能の低下・認知症リスクと関連する可能性が報告されています。背景としては、
- 噛む刺激が減ること
- 食べられる物が偏り栄養状態が崩れやすいこと
- 歯周病など慢性的な炎症が続くこと
- 外出や会話が減って社会的な刺激が少なくなること
など複数の要因が考えられています。つまり「歯を残す」「必要に応じて義歯などで噛む機能を補う」ことは、将来の健康を守る視点でも大切です。
参考文献:
フレイル(虚弱)・筋力低下のリスクが高まる
フレイルとは、年齢とともに筋力や体力が低下し、疲れやすくなったり、転倒しやすくなったりする「虚弱」な状態のことです。口腔機能の低下(噛みにくい、飲み込みにくい、むせる等)や歯の減少は、フレイルと関連する可能性が指摘されています。
噛みにくいと、肉・魚・野菜などを避けて食事が偏りやすく、たんぱく質不足→筋力低下につながる流れも起こりやすいと考えられます。
参考文献:
栄養状態が崩れやすく、低栄養につながる
歯が少ない・噛みにくい状態では、食べられる食品が限られ、柔らかい炭水化物中心の食事になりやすいなど、栄養バランスが崩れやすくなります。
研究でも、口腔機能や歯の状態が栄養摂取に影響すること、要介護高齢者では咀嚼・嚥下機能が低栄養と関連することが示されています。
「歯を守る」「入れ歯等で噛む機能を補う」「口腔と栄養をセットで管理する」という発想が重要です。
参考文献:
誤嚥性肺炎のリスクが上がる可能性がある
誤嚥性肺炎は、食べ物・唾液・細菌などが誤って気道に入り、肺で炎症が起きることで発症します。
歯が少ない、噛みにくい、飲み込みにくい、口の中が不潔といった状態では、誤嚥性肺炎のリスクに関わる可能性が指摘されています。
特に高齢者では、歯や入れ歯の状態、口腔清掃、嚥下(飲み込み)機能のチェックなどを組み合わせて、肺炎リスクを下げる取り組みが重要です。
参考文献:
生活の質(QOL)が下がりやすい
歯が抜けたままだと、噛みにくさだけでなく、発音のしづらさ、表情の作りにくさ、見た目の悩みなどが起こり、外食や会話を避けるようになる方もいます。
こうした変化は、口腔関連QOL(お口に関する生活の質)を低下させやすいと考えられています。
「治療して終わり」ではなく、噛む・話す・笑うといった機能を回復し、日常生活の満足度を取り戻すことも歯科治療の大切な目的です。
参考文献:
うつ症状・メンタル面への影響が指摘されている
歯が少ないことは、抑うつ(気分の落ち込み)の発症と関連する可能性が報告されています。歯を失うことで「うまく話せない」「笑うのをためらう」「食べにくい」といった社会的・心理的な負担が増え、人との交流や外出が減ることが要因として考えられます。
歯を残すこと、そして必要に応じて義歯などで機能を回復することは、心の健康の面でも意味があるといえます。
参考文献:
80歳で20本以上の歯を有する者の割合は約50%!
これまで見てきたように、歯がなくなるデメリットについては、多くの方が認識しているものの、将来的に歯をしっかりと残せている方は意外にも多くありません。
「80歳で20本以上の歯を残そう」という目標は、8020(ハチマル・ニイマル)運動として広く知られています。
厚生労働省の「令和4年歯科疾患実態調査」では、80歳で20本以上の歯を有する人の割合は約50%という結果が出ています。達成できている方が増えてきている一方で、半数ほどの方は20本未満というのが現状です。
このデータは、「年齢を重ねると歯は自然に減るもの」とあきらめるのではなく、日々のセルフケアと定期的な歯科受診で、歯は守れる可能性があることを教えてくれます。
今からできる対策を続けることで、将来の食事や健康に大きな差が出てきます。
歯がなくなる主な原因
歯を失う原因はいくつかありますが、特に多いのが「歯周病」と「虫歯」です。どちらも、初期のうちは強い痛みが出ないことがあるため、気づかないうちに進行しやすいのが特徴です。
ここでは、歯がなくなる二大原因について、分かりやすく解説します。
歯周病
歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまった細菌(プラーク)が原因で、歯ぐきに炎症が起きる病気です。進行すると歯を支えている骨(歯槽骨)が溶け、最終的には歯がグラグラして抜けてしまうことがあります。
怖いのは、歯周病が「痛みが少ないまま進行しやすい」点です。出血や口臭などのサインがあっても、忙しさなどで放置してしまい、気づいたときには重度になっているケースも珍しくありません。
歯周病は、早めに治療を始めれば進行を止めやすく、歯を残せる可能性も高くなります。「歯ぐきから血が出る」「腫れている」「口臭が気になる」といった症状がある方は、早めに歯科医院でチェックを受けることが大切です。
虫歯
虫歯は、細菌が作る酸によって歯が溶け、穴があく病気です。小さな虫歯のうちは痛みが出にくいこともありますが、進行すると神経まで達して強い痛みが出たり、歯が大きく崩れて残せなくなったりします。
また、虫歯は治療して終わりではなく、詰め物や被せ物の境目から再発することもあります。治療を繰り返すうちに歯の残っている部分が薄くなり、最終的に割れて抜歯になるケースもあります。
虫歯で歯を失わないためには、早期発見・早期治療はもちろん、再発させないためのセルフケアと定期的な検診が欠かせません。特に「痛くなるまで受診しない」習慣がある方ほど、歯を失うリスクが高くなりやすいので注意しましょう。
歯を残すために今からできること
歯を残すために大切なのは、「特別なことを一度だけやる」よりも、原因を作らない習慣を続けることです。
歯を失う主な原因である歯周病や虫歯は、どちらもプラーク(細菌のかたまり)が引き金になります。つまり、毎日のセルフケアと、歯科医院での定期管理をセットにすることで、歯を守れる可能性はぐっと高まります。ここでは、今日から始めやすいポイントをわかりやすく紹介します。
毎日の歯磨きを「質」で見直す
「毎日磨いているのに虫歯や歯周病になる」という方は、磨く回数よりも磨き方の質に原因があることが少なくありません。歯周病の汚れがたまりやすいのは、歯の表面よりも歯と歯ぐきの境目です。
ここに歯ブラシの毛先が当たっていないと、磨いているつもりでもプラークが残ってしまいます。
コツは、力を入れてゴシゴシこするのではなく、毛先を境目に当てて小刻みに優しく動かすことです。強い力で磨くと毛先が寝てしまい、汚れが落ちにくくなるうえ、歯ぐきを傷つけたり歯ぐきが下がる原因になったりすることもあります。
「軽い力で丁寧に」を意識するだけでも、磨き残しは減らしやすくなります。
歯間ブラシ・フロスを習慣にする
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは十分に落とせません。実際、トラブルが起きやすい場所も歯と歯の間です。ここに汚れが残ると、虫歯にも歯周病にもつながりやすくなります。
そこで重要なのが、歯間ブラシやデンタルフロスです。歯間が狭い方はフロス、歯ぐきが下がってすき間が広い方は歯間ブラシが向いていることが多いです。最初は毎日でなくても構いません。
まずは「夜だけ」「奥歯だけ」など、続けられる形で習慣化することが歯を守る近道になります。
歯周病のサインに早めに気づき、放置しない
歯周病は、初期のうちは強い痛みが出にくく、気づかないまま進行しやすい病気です。だからこそ、次のようなサインを見逃さないことが大切です。
歯みがきで血が出る、歯ぐきが腫れる、口臭が気になる、歯ぐきが下がって歯が長く見える、歯が浮く感じがする、噛むと違和感がある――こうした変化がある場合、歯周病が始まっている可能性があります。
「一時的なものかな」と放置してしまうと、治療が大掛かりになったり、歯を残しにくくなったりすることがあります。早く気づいて早く対処するほど、歯を守れる可能性は高まるため、気になる症状が続くときは早めに歯科医院で相談しましょう。
定期検診とプロのクリーニングを継続する
セルフケアを頑張っていても、どうしても磨き残しは出ます。また、歯石になってしまった汚れは歯磨きでは取れないため、歯科医院でのクリーニングが必要です。歯石は細菌が付着しやすく、歯周病が進みやすい環境を作ってしまいます。
定期検診では、歯石除去だけでなく、歯周ポケットの検査や磨き残しのチェックを受けられます。「悪くなったら行く」ではなく、悪くなる前に止めるという考え方に切り替えることが、歯を長く残すためのポイントです。治療後の状態を維持するためにも、定期的な通院を習慣にしましょう。
喫煙・食生活など生活習慣を整えてリスクを下げる
歯周病や虫歯は、歯磨きだけでなく生活習慣の影響も受けます。たとえば喫煙は、歯ぐきの血流を悪くして治りにくくしたり、歯周病が進行しても症状が出にくくなったりするため、結果的に悪化に気づきにくくなることがあります。
また、食生活では「だらだら食べ」「甘い飲み物を頻繁に飲む」といった習慣があると、口の中が酸性に傾く時間が増え、虫歯リスクが上がりやすくなります。
完璧に変えようとするより、まずは回数を減らす、飲み物を水やお茶にする、間食の時間を決めるなど、できることから整えるのが続けやすい方法です。
噛み合わせ・歯ぎしり食いしばりを放置しない
歯ぎしりや食いしばりの強い力は、歯や詰め物・被せ物に負担をかけ、歯のヒビや破折(割れること)の原因になることがあります。さらに、歯周病がある状態で強い力が加わると、歯を支える組織に負担がかかり、症状が進みやすくなることもあります。
朝起きたときに顎が疲れている、歯がすり減ってきた気がする、詰め物がよく取れるなどの心当たりがある方は、歯科医院で相談してみてください。マウスピース(ナイトガード)を使うことで負担を軽減できる場合もあり、歯を守るための重要な対策になります。
喜多デンタルクリニックで「歯を残すための予防」をはじめませんか
歯を残すためには、毎日のセルフケアに加えて「早めの受診」と「継続的な管理」が欠かせません。喜多デンタルクリニックでは、歯周病・虫歯の治療だけでなく、歯を失わないための予防とメンテナンスまで含めてサポートしています。
そのため、「痛みが出てから治す」のではなく、小さな変化の段階で気づき、進行を防ぐことが歯を守る最大のポイントになります。
また、「できるだけ歯を抜きたくない」「将来も自分の歯で食事をしたい」といった思いに寄り添い、症状やご希望に応じた治療・管理プランをご提案しています。
今は気になる症状がなくても、歯を残せるかどうかは今後の行動次第です。将来後悔しないためにも、歯を守る第一歩として、ぜひ一度ご相談ください。
徳島市の歯科(歯医者)喜多歯科クリニック
クリニック紹介
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クリニック情報
- 医院名:KITA Dental Clinic/喜多歯科クリニック
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